手の甲をそっと撫でられ、痺れるような感覚に俺は慌てて手を引っ込めた。
庄野は別にそれを咎めた風もなく、立ち上がった。
身長が高いわりに威圧感はない…が、俺は少し後ずさった。
庄野は優しい微笑を浮かべていた。
「あんな風に言うとはね…僕はきっと嫉妬したんだろう。君と…連理に」
連理の名を呼び捨てにされた。
「君たちにヒビが入っていないといいが…大丈夫なのかな?」
「あんたのしったことじゃない」
俺の言葉に庄野は少し顔を曇らせた。
俺は意外にもそれに慌てた
「いや、…もういいんです…別に」
庄野はすまなそうにため息をついた。
「連理に未練とかじゃあないんだよ、琉聖君。
僕は自分の結婚がうまくいってないから幸せそうな君たちに妬いたのさ。
けど、僕のことを心配して傍にいた連理を見ると…
君を傷つけたんじゃないかと気になってね」
庄野の傍にいた?
連理が?
やはりあの日…2人は一緒にいたのか…
俺は不覚にも涙が出そうになり顔を背けた。
庄野が近づく。
「大丈夫…僕らの間には何もないよ?
望まれても終わった仲さ、気にすることはない。
そのうち冷める…」