近づき…気づいた。
誰かいる。
そっと、中を伺うと。
驚き、動揺し、絶句した。
な、なんで??
なんで静留と庄野がいんの
二人は向かいあって話していた。
俺は驚きつつ約束通り、ムービーを撮り始めた。
なんだ?
静留は何をしてんだ?
「…で、話したいことはそれだけかい?まあ君ならどの大学でも大丈夫だと思うよ」
よそ行きの綺麗な声。
「いえ、あの…」
静留は言い淀み、神経質に指を唇へ持っていく。
それでいて上目遣いで庄野を伺う。
「俺…その…」
真っ赤になって黒髪をかきあげる。
夕闇の教室、得体のしれない緊張感。
静留は、なにか小さなメモを庄野に見せた。
庄野が目を見開く。
静留は素早くそれをしまい訴えかけるようにジッと庄野を見つめる。
庄野は明らかに雰囲気が変わった。
纏うオーラは教師から、あの異様に禍々しい男へと変貌した。
「そうか…意外だな、君が…なるほど」
そっと音もなく静留に近づいていく。
豹だ。
名前の通り緑に目が煌めいている気さえする。
静留、危ないぞ!
時計はまだ、15分をやっと過ぎたばかりだ。