「おい…」
「…あー、あと牛ハラミ4つとー、握りサーモン6つで、そんでから海鮮盛りも」
「かしこまりました」
…どんだけ食う気だ。
仕事終わり、家に帰ろうとする所
原島に呼び止められた
『奢るんで付き合って下さい』
普段は女以外に出す金は無いやら奢れ奢れと言う男が
どういう風の吹きまわしか
「初めてですねぇ二人でご飯」
俺の気持ちを余所に原島は楽しそうにしている
「…お前、払う気さらさらないだろう」
「え?何で?」
「頼み過ぎだ」
「ははっ」
睨みをきかせても
目の前の男はバレました?なんて笑っている
「…で?」
「はい?」
「一体どういうつもり…「生2つ、お待たせしましたー!」
途中で割り込んできた声に奴の興味はいっきにそちらへ。
ありがとー、なんて軽口をききながら若いねだの何歳だの店員をナンパしだした
慣れてるんだろうか、相手の女の子は適度に答え、そそくさと持ち場へ去っていったが…
「あちゃー逃げられた」
こいつは、口も上手いし顔も悪くないんだが話し方一発で遊び人の雰囲気が伝わるんだろう
「…」
「俺最近フられてばっかなんですよね」
「原島」
何を勿体振るのか
「これ以上ちゃらけてると帰るぞ」