「まさか…ね…」
と言いつつもリスニング教室のドアに手を伸ばす。私は何故かどきどきしていた。今までの緊張とかのではなくて、胸の奥がきゅっとなるような。そして、思い切ってドアを開けた。
「せ…先生!?」
そこには驚く広瀬くんの姿があった。
「どうして先生がここに…授業しなくていいのかよ?」
私はいらっときた。何よ…自分は約束破ってサボってるくせに…
「広瀬くんこそどうしてこんなとこにいるの!?昨日言ってたことは嘘??」
私が問いただすと広瀬くんはうつ向いて、
「急に先生の授業があるって聞いて…その…悪いとは思ったけど」
「なっ…私だって」
「先生だって授業途中で抜けてきたんでしょ?」
私の話を途中で遮って同罪だろ?みたいな言い方の広瀬くん…。 お前のせいだー…! って 叫びたい位だったけど 私の口からは
「広瀬くんが気になって…」
という言葉が穏やかに出てきた。