医学の力で変えた顔を、燐は不思議そうに撫でた。
「木戸なの?」
俺はゾクゾクする背筋を伸ばし息を整えた。
「そうだよ」
燐は歯を剥き出しにして笑った。
昔のまま、悪魔みたいに。
「なんで気づかなかったんだろう」
無理もない、いくら名前は同じでも顔には面影はないし…俺は目立たないように最大限気を使っていたんだ
そうして、燐を監察していた…今も変わらないか、確認していた。
そして、結果、燐は何一つ変わっていなかった。
友達とつるんでいる時も、光を吸収するような目はそのままで…、時おり見せる残酷な煌めきが遠い記憶を呼び覚ます。
「この顔…似てるな…僕に…」
「似せたんだ」
燐はアッハ、と笑って俺に抱きついた。
「最高!やっぱ木戸って面白い」
甘えるように見上げた顔が上気している。
「ねえ、今度は何して遊ぼうか」
俺は燐の黒髪を指で鋤きながら、微笑む。
「なんでも、燐が望むことを」
「じゃあさ」
燐は歌うように言った。
「母さん殺したみたいに…楽しい遊びを考えよう」
俺は邪悪の塊を抱き締めて頬に口づけした。
「いいよ」