あの日、デバッガーに選ばれた日。
初めて紗弥の顔を見た。
その人が差し出したパソコンの画面には、今より少し幼い顔の紗弥が映っていた。
「新崎、紗弥。この人から始めるの?」
「そうです。
彼女を取り巻く問題を解決すれば、ひとまずはこのシステムは効力があると言えましょう。
特に彼女自身の問題を解決すれば………」
「了解!!とりあえず探し出さないと。
会ってみなきゃなんとも言えないな」
あのどしゃ降りの雨の日、
パソコンのある部室を聞いて、(ウソだったけど)向かった。
まだ紗弥を探している途中だった。
「ここ………本当にコンピューター部…だよな」
パソコンを求めてとりあえず用具室に向かった。
そして、キミがいた。
そう言えば、初対面なのにサヤの名前を訊かなかった。不自然だったかな。
だから改めてキミが名乗ったときに、
つい口に出してしまった。
「キミらしい名前だ」
パソコンの画面のキミに、
多分俺は、一目見て恋に落ちていたんだと思う。