「サヤ…………。
もっと、キミらしい"解決策"を探そう。
きっと、この学園都市の構想は、あの男子たちみたいな奴らを"排除"した街のことなんだと思う……。
キミに心無いことを言ってしまった華宮さんたちも、その対象なのかもしれない。
でも……。
キミが望んだのは、きっと"こういう"のじゃないだろ?
サヤは……そんなヤツじゃないだろ?」
俺は、彼女が言葉を発せられないほど涙を流しているのに、
"彼女らしい解決策"なんて、
これっぽっちも考えられなかった。
この学園都市構想ほど、単純明快なものはない。
人の悪口を言えば、痛い目に遭い。
人を一方的に痛めつければ、生命をおとす。
暴力も無い、陰口の心配も無い、
そんな単純な学園都市。
サヤは暴力も陰口も確かに憎んでいる。
だからと言って、
それらを引き起こす人間全員、消えてしまえと望んではいない。
彼女が俺と出会うまで選択していたことが、記憶の断片に残っていた。
彼女の思考はそこに行き着いたのだ。
多分、彼女の選択は、
自らを消すことだ。
そして俺は、
それだけは絶対に選択肢から外させると誓った。