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セタンスクレ33

イサヤ 2011-06-23投稿
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一歩近付く度、怯えた表情になる

一歩、一歩、
"怖い"
きっと、そう思ってる

―…そうだろうな。




俺は佐木を壁越しまで追い込んで逃げないように両手を伸ばした


「…お前、気付いてたんだろ…」


一瞬の嘘も逃がさないように瞳の奥を覗き込む

「知るかよ…どけよ」

佐木は負けじと睨み付けてきたが
俺は、絶対反らさない。

「気付いてなかったのは、俺だ。」

「もういいって」

「…自分の気持ちに向き合う事なんてしなかったから…」

「止めろ!!聴きたくねぇんだよ!どけ!!!!」



―――――




罵声を止めたのは

噛み付くようなキス

どちらかともなく
血の味がした。



「…ん、ン…ッ」


キスをするつもりじゃなかった
でも、初めて見せた佐木の怒鳴り声が

まるで悲鳴みたいに
聴こえたから。


「っはぁ…は…」


息を切らしたのは佐木

唇を離すと佐木はその場に倒れ込んだ


「…っで…だょ…っ」


途切れ途切れの言葉が…
震えている。


「…何で、優しくすんだよ…」

優しく…したんだろうか?

「俺を辞めさせるなら、自分もやめるとか…そんなんも知らずに俺は…あんたを…傷付けたのに…」

傷付けられたんだろうか?

「まだ好き…とか何、で…何でそんな事…言えんだよ…」

段々としゃくりあげる声

だって、それは

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