私は彩。17歳。クラスの友達はバスケ部やバレー部の先輩達に恋しているみたいだけど、私は違う。ありがちと言えばそれまでだけど、先生が好きだった。先生の名は中村英樹、美術の担任で32歳。明るくてフレンドリーな性格は女子の間でもなかなかの人気だった。でも私生活に関しては憶測ばかりが飛び交ってみんなは殆ど何も知らなかった。私も何度かプライベートな質問をしたけど軽くあしらわれてしまった。でも好きな気持ちは少しも冷めず、告白を決心した。土曜日の部活が終わった後、いったん帰宅しシャワーを浴び着替えをすませて、忘れ物の理由を考えながら校舎に戻った。先生の車はまだ朝見た位置にあった。職員室で今考えてきたばかりの言い訳を話し、先生を確認するが見当たらない。美術室にいるのは間違いなさそうだった。事のスムーズさにドキドキしながら美術室へ向かった。案の定先生はいた。
「中村先生、やっほ!」
「おう…彩か!どうした?」
生徒の作品を壁に貼り付けながら、先生はいつもより控えめな笑顔で答えた。
「ちょっと相談があるんです。先生にしか言えなくて…」 まともに顔が見れない。
「何かあったか?」「あ…それ終わってからでいいです。」