「………ゆ、夢乃…!!夢乃、望です…!」
「……保月!保月サヤです…!!」
お互いに顔を真っ赤にしていたが、
初めて学校で出会ったことに、
奇跡のような感覚を覚えて、
固まってしまっていた。
「…ゆ、ゆっ夢乃くんは……その…!何年生…!?」
「に、二年、二年!!二年生です!」
「えっ…!同級生…!…下級生じゃ…!?」
「にゅ…入学式の日から……電車に乗ってました…よね?」
サヤは望の容姿から、年下だと思っていたらしいが、彼女が通い始めてから同じ制服の彼を見かけなかった日はなかったわけだから、少なくとも同級生以上であることは確かだった。
「そ………そっか……ははは…そうだよね…」
下級生のように見られていたことを意外に思いながら、その瞳で、望はサヤを見つめた。
また、馬鹿馬鹿しい勘違いを指摘され恥ずかしいはずのサヤも、彼から目を離せなかった。
「も…もしかして……特別進学クラスの…?」
「は……はい………」
「どうして……こっちの教室に…?」
望は、何故かすんなりとクラスメイトにされたことを、彼女に話した。
彼女には関わって欲しくなかったし、
知られたくないと、勝手に思っていたことを。
いざ本物を目の前にすると、決意は軽々と打ち砕かれた。