「今ごろ、あいつらは捕まってる…!」
体育館の裏からすぐさま、友人たちと落ち合う予定の正門へ回る。
すでにパトカーが、何台も到着していた。
「くそっ!!離せよ!」
「どこに証拠があんだよ!!」
サヤは乱れる息を整え、ゆっくり出ていった。
いつの間に回収していたのか、彼女の手には、ビデオカメラが握られていた。
「全て話します!!彼らが、私と、あの夢乃望くんにしたことを!!」
主犯は、『彼女』と言われていたあの女子生徒たちだった。
最初は健全な付き合いをしていた男たちと彼女らも、次第に特別進学クラスというものにコンプレックスを抱き始め、不満を解消するため、特定の生徒へのいじめを開始した。
そのターゲットが、一番成績の良かった、望だった。
「いつも電車で眠ってしまう、あのサヤとは思えなかったな…」
全てのカラクリを説明し、サヤ自身が囮になったことを警察から叱られはしたが、二人は晴れ晴れした気持ちだった。
二人の気持ちのように清々しい青空を、屋上で眺めながら、サヤは打ち明けた。
「あなたが、『望くん』だって知った時に、やるしかないって思ったの…。私が、もし、あなた以外に……しょ、処女を、あげることになっても……」
「サヤ………」
互いに顔を赤らめながら、言葉を紡いだ。
「例え私がそうなっても…あなたの心だけは、壊されたくなかった……」
毎朝見つめていた、あの純粋な男の子の笑顔を、サヤは守り抜いた。
「サヤ、今度は僕にも相談して欲しい。もう、キミの愛情には、騙されたくないから」
「騙すだなんて…。じゃあ、今度は私があなたの愛情に、甘えてもいいの?」
二人は深く口づけを交わした。