美紗はそのカサブランカの花の香しい薫りを暫く嗅ぐと、ベッドの上に仰向けになって寝そべった。
美紗はふと壁の時計に目をやると、まだ迎えに行く時間迄には時間があったので、少し昼寝をする事にした。
美紗は何時しか睡魔に襲われて、うつら、うつらと眠ってしまった。そしてどれ位眠ったのだろうか、美紗がふと目を覚ますと壁の時計は約束の時間が迫っていた。
美紗は慌てて、携帯電話でタクシーを一台手配した。美紗は化粧をし治すと玄関のチャイムが鳴った。美紗は財布を持って玄関先に小走りに走って行った。そしてピンクのミュウルを履くと玄関を出て行った。そして玄関先に停めてあったタクシーに乗り込んだ。
美紗は運転手に最寄り駅に行く様に言った。するとタクシーは最寄り駅に向って行った。
30分程して最寄り駅に到着した。美紗は運転手にタクシー料金を支払うと、駅舎の中にイソイソと入って行った。そして改札口の外でそわそわしながら忠也の姿を捜していた。
すると、次の電車がホームに滑り込んで来た。美紗はホームに目をやると、重いスーツケースを押している忠也さんの姿を発見すると、美紗は大きな声で忠也の名前を呼びながら手を伸ばして大きく手を振った。
忠也も美紗の手を振る姿を見て、大きく手を振った。そして満面の笑顔で改札口を出て来た。
『忠也さん、お帰りなさ〜い! 今日の夕飯はご馳走だからネェ………!』と言って美紗は忠也に思いっ切りハグをした。
『オイ…!美紗、こんな人前で照れるじゃないか………………!』と忠也は顔を赤らめながら照れ臭そうに言った。
『いいじゃない…!私達は夫婦なんだから………! そんな事より、早く家に帰りましょうよ〜!』と言って美紗は忠也の手を引いてタクシー乗り場に向って言った。
そして二人はタクシーに乗り込むと、タクシーは桜が丘団地の自宅を目指して走り出した。
忠也はタクシーの車窓から見慣れた街の景色を眺めながら小さく呟いた。
『随分この辺りの景色も替わったなぁ〜!』と忠也が呟いていると、タクシーは桜が丘団地の自宅前に到着した。
『オォ〜っ! 懐かしの我が家に着いたぞぉ!美紗タクシー料金は俺が払っておくから………!』と言って忠也はタクシー料金を支払った。
そして二人はタクシーのトランクからスーツケースを取り出すと、さっさと自宅の中に入って行った。