俺は非常に切羽詰まっていた…
もおすぐクリスマスなのだ、世間は
町中がキラキラキラキラしちゃってこれでもかとデコられて
音楽はリンリンと鳴り響き疲れた顔したサンタがポケットティッシュを配り歩いている…
俺が…斎木生絲(きいと)がどうあがいてもイヴはすぐそこなんだよ、と世間は嘲笑っているのだ
高校二年にもなるとゆーのに、俺には恋人が…いない…いた試しがない
とゆーのは俺がモテないから…では決してない
いやいや、これは本当にそうなんだ、言い訳じゃないぞ…と自身に念じる
こないだだってチャンスだったのに…わりと可愛い部活の後輩が告ってきたとゆーのに
俺は間髪入れずに断ってしまったのだ
いつもいつもいつもそうだ
放課後の教室で悶々と頭を抱えながら、髪をグシャグシャにしたい衝動にかられる
呪縛なんだ
結局俺は…
逃れられずにいるんだ、忌々しいこの…
規則正しい足音がする
教室の戸が開く
「…生絲?まだ居たのか…待たなくてもいいのに」
この、
憎たらしい悪魔に掴まってるんだ