入社当時
キラリと鋭い目をしたこの人は酷く印象的だった
俺の教育係だった彼は見た目通り厳しく
黒川さんが俺に罵声を吐く度ゾクゾクした
意識した時は既に俺はこの人に溺れてた
でも男同士だし
何かアクションを起こしてこの人が俺から離れてしまうのが嫌だった
頭ん中では何度も犯したこの人に
馬鹿な事して構ってくれるだけでいいと思ってた
あの日まで。
『お前、俺が嫌いなんだろ?』
― 何でそんな事を悲しそうに言うの。
まるで俺を好きみたいに
途端頭が滅茶苦茶になった
俺が好きな人は
皆俺を嫌ったのに
母親だって
付き合ってた子達さえこの体を見ると気持ち悪がった
なのに俺が好きみたいなそんな
そんな怖い事言わないで
《俺ってこんな奴なんだよ》
自分でも嫌悪するくらい
酷い抱き方をした。
欲のままだけに。
自分だけの快感を求めようとした。
《嫌いになればいい》
だけど
触れた感触とか
キレイな肌とか
可愛い喘ぎ声とか
黒川さんをどれ程好きになってしまってたかを
思い知らされただけで
黒川さんの名前を無意識に口ずさみながら
この人を諦めようと何度も心に言い聞かしていた