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セタンスクレ46

イサヤ 2011-12-31投稿
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女にだらしない父親は愛人を作って家を出た

母の態度が豹変したのは多分それが原因。

母親が俺を殴るのは仕方ないと思った。



愛情の裏返しの暴力だなんて

現実逃避。

もうガキじゃない。
ちゃんと分かってる。


母親は親になりきれない
ただの可哀想な女だった


受け止めたくなんてなかったけど





「…痛いか…?」


黒川さんが俺の胸の傷をそっと撫でた

…イってから結構時間経ったのに
ピクンって反応してしまう。

(我慢、我慢…)

「…ううん。もうただの痕だし」

本当に痛みはない
心だって、あの頃に比べたら全然平気だし

だけど黒川さんはまだ心配そうに
俺の胸を撫でる

(…っ何かやらしい触り方だなぁ…)
なんて、俺の頭がまだエロモードだからだろうか



「…そりゃあ殴られると痛かったし
煙草の火も熱かったし
切られたら血が出た

でもあの人の気がすむなら仕方ないかなって思ったんだ」


言いながら少し昔を思い出した


「…俺ならそんな風には考えられない」

俺を想ってくれたのか黒川さんは眉間に皺を寄せながら呟いた

「ははっ黒川さんならブチ切れて日本刀とか振り回してそう」

冗談まじりに言うと
俺を何だと思ってんだと一喝された


「…だって、ずるいんですよ、あの人。
俺に暴力振るったら一瞬すげー悲しそうな顔するの。まるで自分が傷ついたみたいに」

痛いのはこっちだってのにね
なんて笑うと黒川さんは罰の悪そうな顔をした


「その顔が見たくなくて…16んなってすぐ働いたんですよね。一人暮らししたと同時にあの人とは会ってないんですけど」

「佐木…」

その声が驚いているようにも諭すようにも聞こえて
自分が泣いてるんだと何かが伝う感覚で気付いた


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