GWに里帰りなんかよせばいいのに、とオレは運転しながら、何度もぼやいた。
「あんたもしつこいわね、都合がつかないんだからしょうがないでしょ」
夜の8時から家を出発すれば、じーちゃんとこに着くのは夜中の1時か2時だろう。おまけにさっき母さんの携帯に(伯父さんちに不幸があったので急きょ向かう)なんて連絡が入った。
「どーするんだよ、じーちゃんちの鍵もないんだろ?」
「ビジネスホテルかなんかあるでしょ」って全く危機感がない。母さんは若くてまあまあ美人だけど、もともと無計画でよく損をする。この楽天ぶりも時々イライラする事がある。
そんな訳でぶすっとしているオレに携帯でオヤジから。
「今どこだ?」
オレはノロノロの高速道路でイラついてること、今晩寝る所がないこと、状況のわからない脳天気なおふくろのことなどを愚痴った。オヤジは笑いながらオレを諭したけど、とりあえず宿を探すようアドバイスしてくれた。確かにもう10時過ぎだ。あさってオヤジも合流するから母さんを頼むよ・だって…
助手席に座ってたって疲れるのだろう。母さんはしばらく眠っていた。昼は仕事だったんだから仕方ない。
ところでビジネスホテルも何も宿がない。
「ラブホテルでいいじゃない」あっけらかんと言うが、ほんの少し抵抗も…ただラブホも2件目が満室だった時点で焦ってきた。今考えるとGWに簡単にラブホに入れる訳がない。しまいには4件目のラブホでは受付のおじさんに相談に行った。
「空いてるけど…エアコン壊れてるよ」
それでもいいっす!とにかく一晩泊まれれば