人形でも扱うような手つきで髪を撫でられ、その左手は顎から唇へ。指が唇をこじ開けるように、その小さな口腔へと挿入された。紫乃は訳も解らず眉間に皺を寄せるばかりで、思わず取り落とそうになる銚子を握り直す。
「もうそれはいいから置きなさい」
紫乃は首を横に振った。置いたらもっと嫌な事をされるような不安を感じて。しかし、銚子は空しくも奪い取られてしまった。
「うっ!」
置いた銚子の横でびくり、と、喜作が震える。同時にお理津の背中が目一杯反り返り、その唇を震わせた。
「なんだ喜作、もう終わりか?」
「旦那ぁ、だって、あっしは、溜まってやしたから、はぁ」
早々に果てた喜作はそのまま柱に凭れ掛かった。尻を突き出した姿勢のままのお理津もまた、肩で息をする。
「見てみなさい」
ちょうど、お理津が晒す大切な場所の正面だった。平吉に促される紫乃。大人の女を目の前にして、好奇心が頭をもたげる。尻を高く突き上げるのは主人である久間が毎度どこぞで拾って来る夜鷹の女。その事を紫乃も知っていた。平吉は紫乃を膝から下ろして、まるで呼吸でもするかのように開いたまま蠢くその膣口へと指を充てがった。
「ひぁっ」
股の内側をひくつかせながらもしかし、いとも簡単に呑み込まれてしまう指。その光景を紫乃は目を丸くして見詰める。
「ふむ。これだけ柔らいでいれば、なんだって入りますね」
玩具である。女郎屋とは違い、扱いは畜生なのだ。平吉は紫乃の細い右手を取ってお理津の尻に、しかし紫乃はその手を引っ込めようとする。お理津もまた何かを感じ取ったか身を捻ろうとした。
「手の力を抜きなさい。大丈夫だから。それとも、違う楽しみ方をさせてくれるんですか?」
紫乃の目には平吉の薄笑いが悪鬼に見えた。助けを求めようにも、主人はお理津の尻を動かさぬよう抱えて同じ顔。
「な、何をなさるんですか?」
紫乃の震える声は黙殺され、小さな右手はお理津の大切な所へと充てがわれる。
「や、やめ……」
お理津の声はさらにか細い。やがて紫乃は指先に生暖かさと滑りを感じた。だが不思議と嫌じゃない。それは人肌の温もりで、握られるような締め付け。そして指は二本から三本へ。
「あぅ……ふぅ」
三本から四本。細い指とは言えきつく感じるお理津は背筋に力が入り、呻く。
「くぅっ……」