「案ずるな。生娘の小水は甘露水と言うてな、清らかなる物なのじゃよ」
「はぁ、はぁ、はぁ……」
ぐったりとする紫乃。しかし彼女の心は浮遊し、視界の先の極楽図にあった。ぬるりと印金が尻から抜かれた時、開花した菊より恥ずかしげに空気が洩れた。
「屁も良い」
紫乃にとって絶えず笑顔を見せてくれる老僧は、何もかもを赦してくれそうな、そんな気がした。
「どうじゃ。筆下ろしをこの生い先短い老僧にさせてくれぬか。儂にとって房事はこれが仕納めかも知れんでな」
老僧が覆い被さる姿勢で紫乃を見詰め、髪を優しく撫でると、彼女は小さく頷いた。悲壮感すら漂う言葉に、慈悲の心さえも芽生えてしまう。貧相に痩せ細った体とは不釣り合いに、いきり勃つ陰茎。そのシミも浮き黒ずんだ亀頭が、淡い桜色の割れ目を分け入ってゆく。
「狭いのう。これほどの狭さは初めてじゃ」
「あっ……痛っ」
亀頭が半ば沈んだ所で、紫乃の全身に衝撃が走る。
「痛むか?」
「だ……大丈夫です。どうぞ、突き破ってください」
熱いものが紫乃の体内へと侵入してゆく。他人と繋がり一つとなる感覚に、痛みすら忘れてゆく。老僧は老体に鞭を打つように、精力を注ぐ。やがて奥まで。膜は貫かれ腟が棹によって満たされた。
「ひああぁぁ……」
「ふう」
ひと息ついたのち、ぴんと天井を指した乳首を撫で、舌を這わし、そして吸い上げ、痛みから遠ざけてやろうとする。しかし紫乃の顔は苦痛すらも受け入れ、頬を紅潮させ、快楽の海を漂う喜びすら浮かべていた。老僧にはその姿が神々しくも映る。
「動くぞ」
「はい……あっ」
動くほどに締め付けが強くなり、老僧も遂には我を忘れる。
「こりゃ、観音様じゃ」
強く抱き締めれば、紫乃の体は老僧の腕の中へと綺麗に収まってしまった。頭と肩を抱えながら腰を激しく前後させる。紫乃もまた老僧の背に腕を回すが届かず、ただ張りの無い背中を泳ぐのみ。互いの息が荒くなり、燭台の炎も揺れる。
「おぅっ、おぅっ、おぅっ」