固まる与兵衛。その唇が強引に塞がれた。自然、彼の腕がお理津の背中へ。然れどその動きは無骨で、且つ不自然。
「杯はもう置いて、こっち来て……」
お理津は手を取り、先ほどまで紫乃と抱き合っていた床へと誘う。
「一緒に、寝ようよ」
やがて与兵衛は生暖かい布団を足の裏に感じた。横たわれば紫乃とお理津に挟まれる形。なにぶん二人ともに何も着ておらず、故により一層目が冴えてしまう始末。下半身は不覚にも困った事になる不始末。
「良かった。紫乃は、仲間外れじゃないんですね」
なぜか声を潜めてしまう。
「当たり前さ。ね、与兵衛さん」
「まぁ……な。二人とも何も心配せず、ずっとここに居ても良いのだからな」
優しく語るも刹那、尋常ではない己が下半身に閉口する。右を向いても左を見ても顔があり、その下半身同様天井を見詰める他なかった。
ふと、右側よりお理津の右手が厚い胸板に乗せられる。それだけで動きを封じられしまった。俺はつくづく女に弱いな、と、声に出さずに彼。そのくせ助平心は人並みにあり、抑え込むのに苦労する。私欲のために女たちを受け入れている訳ではないと言う意地。馬鹿馬鹿しくも、それが武士というものであった。
「こ、こら、帯を解くな」
もそもそと布団の中で動く手。与兵衛の上を這いながら、下へ下へとお理津の手。やがて苦しげに脹らみきった下帯へと達した。
「おっきぃ……」
「馬鹿め」
「紫乃ちゃんも触ってごらん」
「私も?」
躊躇ったのは紫乃ではなく、寧ろ誘ったお理津の方であった。紫乃を淫靡な世界へと引き込んだのは自分で、それがどんな結果を招いたか。ふと冷静となり、自分の中の矛盾に気付く。
左から恐る恐る小さな左手。闇の底を探り探り、やがてお理津の右手まで辿り着いた。
「あつい……」
「悪ふざけもその辺に……」
手探りで下帯が解かれれば、跳ね上がるが如き肉棹ははち切れんばかり。その隆々とそそり立ち脈打つ暴漢は押さえつける二人の手に捕われ、勃ちながらにして立つ瀬も無し。お理津が棹を掴めば紫乃は陰茎に指を這わす。びくり、と、腰がぶれる。与兵衛、葛藤。だがこの状況に勝てる者など、果たして居たであろうか。与兵衛は両手を布団から出し、お理津と紫乃、それぞれの頭の下へと差し入れた。そして、二人同時に抱きすくめる。静寂と暗闇の中で、折り重なる三人の鼓動。