「これじゃぁ寝れもしないだろう?」
布団を跳ねのけながら起き上がり、お理津が言った。やがて、その舌が与兵衛を濡らし始める。濡れた音が、そして息遣いが重なり合い、蒸し暑くなる部屋。
「与兵衛さん……」
切なげな声。下腹部から筋肉をなぞり、お理津の舌がせり上がる。やがてそれは唇を割って彼の舌と絡み合い、吐き出す吐息で与兵衛の肺を満たした。
「与兵衛さん……あたしを、抱いておくれよ」
「よいのか?」
答えず、静かに横たわるお理津。その上下する腹から上に向かい手を滑らせる与兵衛の中で、次第に漢が頭をもたげる。そうだ。抱いてあげるのでは無い。抱きたい自分が確かに居るのだ。それを認めるか否かを考える余地も無く、自ずと開かれた足に体を割り込ませ、我を忘れたかのように脈打つ暴漢をその股の間に突き立てた。
「入れるぞ」
「んっ」
割れ目を亀頭が押し拡げる。滑り良し。腰が沈むごとに与兵衛とお理津はひとつになってゆく。見知らぬ男と交わっている常とは違い只ならぬ濡れ様で、すでに床を大層湿らせてしまった。
「くっ……」
与兵衛は背中の皮膚が捲れるほどに爪を立てられ、その痛みに耐える。
「いくっ」
と、まださほど動いてもいないのに、お理津は早々気をやってしまった。音を立てて噴き出す淫汁に、ただ唖然。
「えらい始末だ」
「だ、だって……」
与兵衛は軽く頭を撫でてやった。胸元には痙攣する肩。
「ういところもあるじゃないか」
気に食わないのは紫乃である。お理津ばかりが好きな男と交わえて。
「私も混ぜて……」
「し、紫乃ちゃん……」
天井を向いたお理津の乳首が囁くように言った紫乃の口に含まれ、その先細りした舌で突つかれる。神経が露出してしまったようなほどに敏感なお理津は、闇の中でただ悶える。
「はくっっ」
短い悲鳴。しかしながらその唇はすぐさま紫乃のそれに塞がれ、くぐもった喘ぎへと変わった。鼻だけで呼吸する事に苦しさを覚えながら、舌と舌とが絡み合う。
「ぷはっ」
息継ぎ。
「気持ちいいの?」
「う……ん」
しかし、束の間。与兵衛の大きさはお理津の想像を越え、さらに奥へ。まだ、奥へ。
「くぁ……ぁ」
目隠しでもされたかのような程の暗さに、上下不覚となる。その浮遊感は五感を支配し、我を忘れさせた。