『えみりさん、そんなに急いで帰らなくてもいいじゃない……!
そんなに急いで帰らなくちゃいけないの――――!』
『そんな事は無いですけど、由希子さんはお仕事はいいんですか……? 因みに今何時頃ですか………?』
『今……? 今は夕方の五時前よ……!』
『えッ!もうそんな時間ですか…? じゃあ、本当に御暇しないと! 兼人さんを早く呼んで下さい………!』
と言ってえみりは着て来たブラウスとピンク色の会社の制服を素早く身に着けた。
『そんなに急いじゃってぇ――――ッ!
じゃあ、お願いだから後一回だけキスをさせて頂戴!』
と言って由希子さんとえみりは熱い抱擁をしながらキスをした。
『えみりさん、由希子の我が儘を訊いてくれてありがとう…!じゃあ、お礼に兼人さんに内線電話をして呼んであげるぅ……!』と言って由希子さんは内線電話で兼人さんを呼んでくれた。
『えみりさん、兼人さんは5分後に寝室に来るってさ………!
あー!そうだ!えみりさん是を由希子だと思って使って観てぇ!』と由希子さんは寝室のベッドの脇の箪笥からスティックローターを取り出すと、えみりに手渡した。
えみりはそのスティックローターを自分のバッグに放り込んだ。すると暫くすると兼人さんが寝室にやって来た。
『あら、兼人さん、今日はいい想いをさせてくれて有り難う御座いました。貴方の御望み通り、株券を50株買わせて貰いますわ…!』
『そ、そうですか…!それは有り難うございます!えみり君も由希子さんにお礼を言いなさい……!』
『由希子さん、今日は本当に有り難う御座いました。又近いうちに遊びに来ます!』と言ってえみりは由希子さんに深々と頭を下げてお礼を言った。
『あ、えみりさん、忘れ物よ! レモンイエローのシースルーのブラジャーとTバックパンティーを忘れているわよ……! 貴女って本当にそそっかしいんだから、』
と言って由希子さんは苦笑いをしながら、びしょ濡れのランジェリーをえみりに手渡した。
『嫌だぁ……!えみりったら大事なモノを忘れてました……!』と言ってえみりは顔を紅潮させてそのランジェリーを受け取って、素早くバッグの中に放り込んだ。
『それじゃ、今日は本当に有り難う御座いました。』と二人は由希子さんに深々と頭を下げてお礼を言うと、
玄関に向って歩いて行った。