えみりが怪訝そうに携帯電話に出ると、その男は矢の様に喋り始めた。
『だから、アンタは毎晩悩ましい喘ぎ声をあげているだろう…?
独りHをしてあん、あんって悶えているだろう…? 少しは独り身の男の事も考えてくれよ………! 今だって、アンタはオナニーをしているんだろ…?』
『そんな事アンタには関係無いでしょう…?そんなに迷惑だったら耳栓でもすれば…?』
『おやおや…!お姉さんは可愛い顔をして、結構気が強いんだネェ………! でもそんな事を言ってもいいのかなー―――! 俺はアンタの秘密を全部知ってるんだぜ……!
お姉さんは前の晩に会社の上司みたいなオッさんを部屋に垂らし込んだだろう…? あの夜も悩ましい喘ぎ声をあげていたよネェ…………………………?』
『どうしてそんな事を知ってるの? 』
『以前にお姉さんが留守中にお姉さんの部屋に侵入させて貰ったんだよ…! その時に盗撮用の小型カメラと盗聴器を設置させて貰ったよ! オマケにエッチなシースルーのハイレグTバックパンティーを証拠に貰っておいたよ…! だから、会社の上司と密会している事を大きな声でばらしてもいいのかな…?もしばらされたく無かったら、俺の言う事を聞いて貰えますかネェ――――!』
『わ、判ったわぁ…!私の負けだわ……!
お願いだから、その事はどうか内密にお願いします………! 何でも貴方の言う事を訊きます……!』
『じゃあ、この玄関のドアーのロックを外してよ! 実はお姉さんの部屋の前に俺いるんだよネェ―ッ!』
『えッ!玄関のドアーの外にいるの……?
判ったわ…!今ドアーのロックを外すから、少しだけ待って頂戴!』
と言ってえみりはたくしあげたピンクのシースルー素材のネグリジェを元通りにすると、玄関のドアーのロックを恐る恐る外しに行った。しかしチェーンロックは外さずにいた。
男は力ずくでドアーを開けようとしたが、チェーンロックに阻まれた。
『お姉さん、チェーンロックも外してよ!
じゃなきゃあの事を会社やご近所に大きな声でばらすよ…!それでもいいの……? 』
『判ったから、玄関を開けるから待って頂戴!』
と言ってえみりは観念したのかドアーをすんなりと開けた。
『無駄な抵抗をしゃがってぇ―ッ! いいから大人しくしろよ!』と言ってその男はえみりを抱え挙げると、ピンクのラブソファーに腰掛けさせた。