「どうして…!!倫子!」
「聞い……て」
「!?」
二人残された委員会室には、西陽が差し込んでいた。
その一瞬だけは、時間が止まったように穏やかに感じられた。
「…!!」
「ティアのお母さんの居場所……。鷹松くんたち……知っているみたい…。写真も……」
倫子は踏みつけられた上着から、写真を取り出した。
そこにはティアと同じ金髪碧眼の、背の高い女性が写っていた。
ウィスキーボトルを手に、年配の男たち、それも日本人らしき男たちと、酒を酌み交わしていた。
物影から撮られたのか、周りが黒い影で覆われていた。
「そんな………!」
「日本に……いる…みたい……」
「まさか母さんについて教えるからって…倫子を…!?」
倫子は涙を流したが、笑って頷いた。
「私が…バカだったね……。ティアのお母さんの写真持ってて……本当に知ってるみたいだから………言うこと聞いちゃった……」
ティアは倫子を抱き締めた。
「バカぁ!!倫子がこんなんなっちゃったら…!!嬉しくなんかない!!」
「ご…め…んね……」
倫子は意識を失いかけ、最後に一言呟いた。
「このこと………内緒……だよ…」
好きだった鷹松の事すらも気にかけ、
倫子はティアに体を預けた。
「のり…こ…!!倫子っ!!」