部屋に戻ってちょっとテレビを見ていた。雨は明日まで続く、と言う天気予報だった。「晩ご飯簡単なものでいい?」
昼食が終わったばかりだが、この天気での買い物を気にしてるらしい。
部屋に来たついでに、脱ぎ散らかしたシャツを拾っていつもの小言…
「もう着ないんなら、ちゃんと洗濯に出しなさいって、いつも言ってるでし…」
オレは母さんの手を握った。
「晩飯なんか食わなくたっていいよ」
母さんは動揺を隠すように目をそらして作り笑いをした。
「そうもいかないでしょ…何にする?」オレは腕を引っ張って抱き寄せた。
「オレ…母さんがいい」
「何バカなこと言ってんの」
オレは母さんをベッドに座らせ、抱き締めた。母さんは抵抗しなかったが動かなかった。母さんの髪を掻き揚げて見つめた。そして伏し目がちに震える母さんにキスした。動かない。柔らかい唇…あの日キスはしなかった。なんてステキなんだろう…母さんは気後れしながらもオレがゆっくりからめる舌に応えてくれた。「大好きだよ…母さん…」
「ばかね……」