「お前なにしてんの!?こんな時間にンな高級マンションで!」
恭太は一瞬で思いついたことを言うしかなかった。
「姉ちゃんがここに引っ越してさ!その手伝いやらされてんだ!」
どうかマンションの住人には聞こえませんようにと祈りながら、恭太は大声で友人に嘘を吐いた。
「…そっかぁ!頑張れよ!」
「おお!じゃあな!」
恭太は冷や汗を身体中に感じながら、雪美が心配そうに待つエレベーターまで急いだ。
「…恭太…!大丈夫でしたか?さ、乗って…!」
急ぎ駆け込み、エレベーターの扉が閉じたと同時に、恭太は尻餅をついた。
「っはぁ…!!危なかった…!」
「上手く誤魔化せたようですか?」
「た…多分…。いや、あいつなら間違いなく、大丈夫です。まさかこんな時間に外出歩いてるなんて…」
「……到着しました、荷物を下ろしましょう」
雪美は申し訳ないという気持ちからではなく、恭太のことを考えて、自分とこんな関係になって良いのかと、改めて思った。
(教師と生徒………。あの人と私みたい…)
「はぁ〜疲れた!さてと、先生のリクエストはオムライスでしたっけね。さすがにオムライスくらいはちゃちゃっと作れますよ」
「すごい……」
「……あ〜、そうだ。…まずは、ご飯を炊かないとですけど…」
ご飯が炊けるまで、二人は休むことにした。
考えたら、補習終了から今まで、動きっぱなしだったのだ。
「恭太……。私は本当に幸せな教師だと思います。こんなに善くしてくれる生徒に巡り会えて」
「どうも。どうしたんですか、かしこまって」
「私、このままじゃあなたに甘えてしまいます」
雪美は震える声で、切ない表情で言葉を紡いだ。
「だから、やっぱり……あっ」
恭太は雪美を押し倒し、乱暴にキスをした。