[PR]
i-mobile

彼女の望んだ解答 Q18

輪廻 2012-07-24投稿
閲覧数[2342] 良い投票[0] 悪い投票[0]

パラソルの下、雪美は頭からタオルを被って、水平線を眺めていた。

「雪美、焼きそば買ってきた。?」

「ありがとう恭太」

雪美はいつもの仏頂面だが、どこか涼やかだった。

二人はしばらく無言で腹ごしらえをしていたが、雪美は静かに呟いた。

「ありがとう恭太」

「?…礼ならさっき…」

「ううん、海に…私と一緒に来てくれて」

水平線から目をそらさず、雪美は言った。

「私、自分に自信が無くなっていたみたいだった。恭太に出会って、どれだけ卑下していたか…思い知った」

「ホントだよ。雪美は何でもできるのが取り柄だろ。この人が教師でなきゃって感じのさ」

「でも、私は生徒たちからは…」

「雪美は嫌われてなんかない。怖がられてるけど、本当に嫌ってるやつなんていない。嫌ってるのと怖がってるのとは、違うさ」

「怖がられてる……」

「誤解だ…簡単な誤解だよ」

恭太は残りの焼きそばを一気にたいらげた。

「…本当の雪美は怖くない。俺も初めは苦手だった。でも補習を受けてるうちに、この先生は、本気で教えようとしてくれてるって分かって…。そのうち…いつの間にか……好きになってた」

「恭太………」

「色んな事を、簡単にみんな誤解して……。とにかく…雪美は何も悪くない。みんなだって、誤解してるだけなんだ」

恭太は、買ってきたばかりのペットボトルのお茶を飲み、言葉を呑み込んだ。
自らも誤解していた頃があったのだと、言い聞かせた。
簡単な誤解だが、解くのは簡単ではない。
一度『怖い』と刷り込まれた者に、『優しい』とか『面白い』とか、そう印象づけるのは容易ではない。

「恭太。貴方がいてくれるだけで、私はもう十分です…」

「雪美…」

慈愛に満ちた彼女の微笑みは、恭太はたまらなく愛しかった。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「輪廻」の官能小説

もっと見る

女教師の新着官能小説

もっと見る

[PR]
i-mobile
オススメ広告


▲ページトップ