放課後の職員室。
復帰第一日目にしてはよくやったと自らの一日を振り返りながら、雪美は雅次を待っていた。
「やぁ、雪美」
「雅次さん、お久しぶり」
「元気そうでなによりだ」
「そちらこそ」
雪美は空いている教員の椅子を、雅次にすすめた。
「ああ、ありがとう。……話って、彼のこと?」
「雪美には、ちゃんと俺がついてるって…。雅次さん、恭太にきちんと話してくれてありがとう」
「………君を好きだったことに変わりはないよ。ただ、それ以上に大切な人が、俺にはできたんだ」
「今なら分かります。私もあなたが大好きだった。でも、今は恭太が…恭太のことが……好きです」
涼しい夕暮れどきの風が、職員室に入り込んだ。
雅次は満足そうに微笑み、雪美に別れを告げた。
しばらくして、入れ違うように恭太が入ってきた。
「今度の文化祭の実行委員に推薦されかけて…逃げてきた」
「なっ…きちんと話し合わなきゃダメでしょう」
「ウソ、実行委員になっちまった…。これから放課後は大変そうだよ」
「私も手伝う」
「雪美が俺のクラス手伝うのはヘンじゃないか?」
「どうして?」
「どうしてって…」
「もし聞かれたら…答える必要なんてありません」
雪美は少し背伸びをして、恭太にキスをした。
「こうすればいいから」
「バカ」
雪美は、満足そうに笑った。
Fin.