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marigold #4

輪廻 2012-08-01投稿
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沙耶はふうっとため息をついて、優に向き直った。

「またお義父さんとお母さんのケンカ?」

優は黙りこくった。

「夫婦ってのは愛し合ってるから、ケンカするだけでね……」

「分かってる…分かってるよ」

彼女の"分かってる"は、本質的には分かっていないということだ。
それを沙耶はきちんと分かっていた。

「ったく…。アンタには……何もなかったんでしょ?」

「………うん」

「なら、良いじゃん」

「………」

「思い出したんでしょ…昔のこと……」

優は沙耶のシャツをぎゅっと握って応えた。

「仕方ないな……」

口癖の様に、沙耶は呟き、優の顔を指でくいっとこちらに向けた。
泣き止まぬ優の顔は、涙で濡れていた。
泣き濡れたつぶらな瞳を映えさせる彼女の睫が、一際長く美しく見えた。
沙耶は視線を彼女の唇に向けて、ゆっくりと自らの唇と重ね合わせた。

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