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marigold #10

輪廻 2012-08-03投稿
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「ね……優…。優には、幸せになって欲しい。これは本当だから…」

「沙耶…ちゃん…なんで、なんで今まで言ってくれなかったの…!私…ただ沙耶ちゃんに甘えてただけだった…なんにも知らないで…!」

「ばか…私に甘えてくれるアンタが…そういうアンタが大好きなんだよ」

沙耶の涙を、優は初めて見た。

「なん…で…。なんで、沙耶ちゃんがそんな目に遭わなきゃいけなかったの…!!」

「優…そんなこと言ったらアンタの事はどーなる。私は……ただ運が悪かった…ただそれだけ」

沙耶は逃げるように、小学校卒業と同時に引っ越し、現在は親元からも離れている。
沙耶は、男を嫌悪しただけでなく、そんなことが起きた自分の生まれ故郷をも、嫌悪し、捨てたのだ。

「……運が悪かったおかげで…アンタに出逢えた…。そうだよ。私、もしかして運が良かったのかも…」

「沙耶ちゃんのばかぁ…!!」

「優は泣き虫だなぁ〜…」

優の額にキスをし、沙耶は静かに呟いた。

「優……大好き。………大好き」

沙耶は優を、ふんわりと優しく抱き締めた。

「きっとお義父さんとお母さん、仲直りするよ」

優は沙耶の声に包まれた。
沙耶の胸に、腕に、包まれた。
沙耶は、自分より辛くて壮絶な過去を持っている。
なのに…。

「沙耶ちゃんは………沙耶ちゃんには…私がずーーっと…ずーーっと…ずーーっと…ずーーっと……そばにいるからね…!!」

「はは、分かったよ。ありがとう。…………優、少し…眠ろう…」

「うん………。おやすみ、沙耶ちゃん」

「おやすみ…優」

裸のまま、少女たちは抱き合い、眠った。
傷ついた体を、庇い合うように。

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