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marigold #13

輪廻 2012-08-03投稿
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「沙耶ちゃん!!!」

優が目を醒ましたのは、学校の保健室だった。

「ああ、篠坂さん。起きた?」

「沙耶ちゃん…!?沙耶ちゃんは…!」

「あなたたち夏風邪を移し合っちゃったんだって?登校途中に具合が悪くなったとかで、遠藤さんがあなたをおんぶしてここまで運んで来てくれたのよ。その後、彼女も具合が悪くなったからって帰っちゃったけど…」

「帰っ…沙耶ちゃん…遠藤さんは帰ったんですか!?」

「え…ええ。確かに元気が無さそうだったから」

(沙耶ちゃん……)

明らかに、"何か"がおかしかった。
疲れていたのか、あるいは本当に風邪だったのか分からないが倒れた優には、"何"がおかしいかまでは思い出せなかった。
しかし、このまま沙耶が自宅に帰って良いはずがなかった。
優は、何故か彼女に学校に来て欲しかった。

「遠藤さんが帰ったのって…」

「ついさっきよ。あなたもここで寝てからそんなに時間は…、あっ!待ちなさい!」

優は走った。

何もかもこのままで良いはずがなかった。

「沙耶ちゃん…!!行かないで…!」

下校時に見える景色がぐんぐん横目に遠ざかり、誰も見えない道の先を見据え、優は走った。
汗が次から次へと流れ、湿気を帯びた独特の暑気が、身体中にまとわりついた。
不思議と涙が溢れたが、関係はなかった。
急な全力疾走で頭はくらくらするし、
わき腹はズキズキ痛む。

沙耶は、自分のマンションに程近い橋の上を歩いていた。
すぐ下を川が流れている。
沙耶はどうやらそれを見下ろしているらしかった。

「沙耶ちゃん…っ…!!!」

「……………」

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