「マキさん?」
マキさんは僕の胸で泣きじゃくっている
僕はそっと抱き締め頭を撫でた
「あたし…あたし…何度もあなたを諦めようと思ったけど無理だった…あたし哲也君の事考えるだけで頭おかしくなっちゃうの…」
「マキさん…」
「あなたの『又来ます』って言葉嘘だって分かっていたのでもね!期待しちゃうの…いつか来てくれるんじゃないかって…あたしバカだよね…本人にこんな事言って困らせちゃうんだから…」
「マキさん…」
そしてマキさんは僕から離れ
「ごめんなさい…あたし帰る」
と言ってカバンを取り走って部屋を出て行った
「マキさん!」
僕の言葉は届かなかった
そして僕はしばらくその場に立ち竦んだ
早々に出張の事をまとめ会社を出てタクシーに乗り込んだ
そして着いた先は『荒川 マキ』の住むマンションだった
僕はマンション入り口のインターホンの前で悩んでいた
何て言えば良いんだ?門前払いをされたらどうしよう?かなど悩んでいるうちにここの住人だろうか中から自動ドアが開き僕は入れ替わりに中に入った