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the angel make love 6

輪廻 2012-08-10投稿
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「私の話…?」

「ああ……生前の名前が花子…だろ。
今は……アレイアだったか…くくッ…」

「わ、笑わないで下さい!

はい…花子…でした。

あまり…
…良い思い出ではありませんが…」

花子は苦笑いしながら、俯いた。

「話したくないなら…
…別に構わねェ」

「いえ、大丈夫です…。
私は…あなたの真逆の人間でした。
誰にでも笑顔で、愛想を振り撒いていました」

「意外だな、ブリッコしてたってわけか?」

花子は自嘲気味に笑った。

「…いえ。……それよりも…もっと、
…酷かったと思います」

―花子…花みたいにぱあっと笑うから…。この娘は…花子……―



「花子ちゃん、一緒に遊ぼう!」

「うん!」


「花子ちゃん、おんなじ部活にしよ!」

「うん!」

私は、一人じゃなんにも決められませんでした。
だから親や周りの人たちに、ついていって…。
それが……一番…楽だなって…。
ずっと、人生から逃げていました。


「花子ちゃん、笑わないでね?私…………くんが好きなの…!
応援…してくれる?」

「うん!」


「花子…好きだ…付き合って欲しい」


「……!……ぅん」


「花子……。応援してくれるって…言ったよね?」

「うん……」

「なんで?ねぇ、なんで、
友達の好きな人奪って……笑ってられんのよ!!
アンタ…狂ってんじゃないの!?」

「………うん…」


「周りなんか気にするな…。
俺だけ見ててくれ…。
好きだよ、花子」

「うん…」



―花子…花子はねぇ、花みたいにぱあっと笑うから…花子っていう名前なの…。
だから…悲しい顔して、泣かないで…―

「…ぅん……」


「花子……お前のこと……もっと…好きになりたい……もっと」


「うん………」

最初で最後の相手が、彼でした…。



「お前…!!その腹…!!
……できた…のか?」

「…うん!!」



「何やってんだよ……!!俺らまだ大学生だぞ!?おい…
おろせよ…絶対おろせよ…!!」

「………………う…ん…」

できませんでした。
お金もありませんでしたし、
両親には、彼と付き合っていることも言っていませんでした。

「それで……自分で死んだのか…」

「………っぅ…ぅう!!」

「お前…自分が何したか分かってんのかよ……」

「………最低ですよ…最悪ですよ…!!
分かってますよ!!」

貴斗は脅そうとも掴みかかろうともせず、静かに言った。

「お前は何にも分かってねーよ」

「…!?」

「両親には…付き合っていたことも言ってなかっただ?
お前の母親の言ってたこと、もう一度思い出せよ!!」

「花子…花みたいにぱあっと笑うから…この娘は…花子……」

「お前……ヘラヘラ笑って死んだのか?

ああ人生楽しかったって、笑って死んだのか?

母親は、笑わないお前のこと、なんとも思ってなかったのか?

昔みたいに笑って欲しかったんじゃないのか?

なんで、せめて親に一言も言わずに死んだんだよ」

花子は、絶句した。
それから子どもの様に「ごめんなさい」「お母さん」と、何度も何度も泣き叫んだ。

貴斗は無言で、雨を見ていた。

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