『あっ、もしもしヒロ?うん、りさだよ。ね〜、今日ヒロの家行ってもいーい?』
私[市沢りさ]と[佐藤啓之]は、幼馴染みというほど長い付き合いではないが、親も仲が良いためか高校3年になった今でもとても仲良く、よく遊んだりしていた。
そう、友達として。
ヒロと出会ってから今年で7年目になる。
その間、お互いにそれぞれ恋愛もしてきた。相談も沢山しあってきた。
ヒロと私は、男と女の関係を通り越して1番の友達だと思っていた。ヒロも同じだと思う。
私が自分のキモチに気付いたのは、高2の冬。高校が違うヒロに新しい彼女が出来たときだった。
本屋に2人でいる姿に私は物凄くショックを受けた。
そのときになって私はやっと気付いた。
だけど、このキモチを言うことは出来ない…。
――…この関係だけは壊したくない――
その想いが強すぎて、私たちはまだ仲良い友達のまま。
好きというキモチを押し殺して、私はずっと今まで通りに過ごしてきた。
『お−、夕方には帰ってると思うけど、りさのが早かったら部屋で待ってな。』
『分かったぁ☆じゃ〜ねぇ。』
―――電話越しに、いつもの会話が終わった。
電話を切ってから、私は小さなため息をついて次の授業の用意をした。