『ただいま〜。』
玄関の音とともに、ヒロの声が聞こえた。
『ヒロおかえり。』
ヒロも、私がいることにすぐに気がついた。
『おっ。やっぱ、りさのが早かったか。』
荷物をおいて、ベットにいる私の、向いに腰を下ろした。
『漫画読んでたの?結構待った?』
ヒロが喋り始めた。
『うん…。そんなでもないよ。』
私は、どうしても写真の彼女が頭から離れず、ヒロに対する返事も、ぶっきらぼうになってしまう。
そんなことを知らないヒロは、無邪気にも彼女の話をし始めた。
『あいつが、俺がりさの話したら、会いたいってさ。』
私は、何も言わずにヒロの話を聞いていた。明るく笑って話そうとしても、口を開いたら自分のキモチが飛び出てしまいそうで何も言えなかった。
そんな様子にヒロも気付いたのか、不思議そうにりさの顔を見た。
『おーい、りさちん??大丈夫?元気?』
そう言って、ヒロは私の横に来て、私の頭をポンポンと叩いた。
――…お願いだからやさしくしないでっ。
『っ触んないでっ!!』
私を気遣ってくれるヒロの大きな手を振り払って立ち上がった。
『りさ?どうしたんだよいきなり??大丈夫かよ?』
ヒロも立ち上がって言った。
『ヒロには関係ないでしょ!ほっといてっ!!』
そんなこと言いたくないのに、勢いを止まることが出来なかった。
『関係なくねーよ!心配すんだろっ』
『そんなこと軽々しく言わないでよっ!!私のキモチなんて知らないくせに!!』
私は泣き出してしまいそうになるのを精一杯こらえた。
『キモチ?!なんだよそれっ!!』
ヒロもわけが分からない状態。
私はついに言ってしまった。
『私はっ…!!私はヒロのことが好きなのっ!!いい加減気付いてよバカッ!!
もう帰る!お邪魔しましたっ!』
言うだけ言って、私はヒロの家を飛び出した。