翌日。
部活の朝練で俺は部員から白い目で見られることになってしまった。
何が原因かって言われれば、それは1つしかない。
昨日、須藤が、俺の頬に…
キ、キ、…キスを、したからだ…
「…〜っ」
思い出しただけで吐き気がする。
勿論本人はおふざけ半分でした事だろうが、
俺自身そんなんで済むわけない。
俺は今日から、部員にホモとして見られるのだろう…。
まぁ別にそれ自体はどうでもいい。元々嫌われてるから。
ムカつくのは、アイツのせいでこうなったということだ。
自分が招いた結果なら我慢できるが、他人のバカな行動の為に部活がしづらくなるなんて、最悪すぎる。
ましてやソイツが須藤なんて、余計にムカつく。
…ぜってーブッ殺す。
そう心に決め、俺は矢を射る。
放たれた矢は、一ミリの狂いもなく、的のど真ん中へ突き刺さった。
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話すなら昼休みしかないと思ったが、校内のどこにも須藤はいなかった。
…あと探してないのは屋上のみ。
…行ってみるか…。
また女とヤってたりして。…いや、まさかな。
そんなことを考えながら足を進める。
階段を上がり、いつもの錆びたドアが目に入った。
ノブに手を掛け、回しながら外側にそっと開く。
そこにいたのは、エッチ寸前の男女2人。
…まさかのデジャヴ。
知らない女と、知ってる男。
「…翡翠、邪魔すんの好きね」
知ってる男は、もちろん須藤で。
苦笑しながらこちらを向いている。
俺は無表情のまま、無言でスタスタと須藤に近寄った。