「薫っ…離してッ!」
薫はハルカを無理矢理車に乗せる。
「薫!はなし…むぐっ」「少し黙ってろ」
ハルカはハンカチを口に積められた。またいつもの冷たい薫に戻っていた。
それでもハルカは抵抗した。薫の顔が近付く。煙草の匂いがする…薫の少し長い前髪が顔にかかって少し痛い。
「悪いようにはしねぇよ…ただ今夜は返したくない…」
薫の車が走り出した。
ちょちょっと待って!!家族に秘密で出てきたんですけどーッ!
帰らないとヤバいんだってー!泣
そんな場合じゃないか↓↓
てかドコ行くのよぉー!!
「何だー薫の家じゃん」
薫の家は30階立てのビル。一人暮らしだ。結構いい部屋に住んでる。何回か来た事はあった。
「何だってなんだよ」
薫がクスッと大人っぽく笑う。そして煙草に火をつけた。煙草に火をつけると必ず一度顔をしかめる。それが薫の癖――――
「てか帰してよ」
ハルカはふくれながら言った。
「やだ」
薫は窓の外を見ている。
「帰してよ。何でか薫の家にいるけど私薫と別れ…」
「なぁ」
ハルカの言葉を薫が遮る。
「覚えてるだろ?あの日の事」
相変わらず薫は外を見ている。
あの日の事――――――――私が不良に絡まれてて、私と薫が初めてあった日―――――\r
「うん…」
「あの時俺怖かったよ…何人も不良居たしな。正直見て見ぬフリも出来た。でもお前があの時の子だって分かったら何か体動いてた…」
え…?何言ってるの薫…?
「お前は俺を知らないだろうけど、俺知ってんだよ…お前一人でちぃせぇ頃に公園で泣いてただろ?一人でずっと…なんてか…その、一目ぼれだった。」
えっ?何それ…
「そしたら一緒に帰ってた先輩がさ、スッてお前んトコに行って声かけたんだわ。俺何か悔しくてたまんなくて…走って逃げてた。」
先輩?もしかして…
「アヤメ先輩っていうんだけどよ。………あの時の事すごい悔やんで。声かければ良かったってな…でもまた出会えた時は本当に嬉しかった……ハルカ?どうした?」
二人は知り合い…?
私は頭がぼーっとして途中から薫の話が頭に入らなかった。