笑い転げるダリアを目にし、男は己の未熟さと幼稚さを見抜かれたかのような恥ずかしさをおぼえた。さらには、女を知らない紋切型の男という烙印を押された気分になったのである。
男は、焦る表情は見せまいと、焦った。
「へ、へえー…。仮に僕がキミに『愛してるよ』と言ったらそれはつまり『だから、セックスしないか』と言うことなんだね?それじゃ、さっきの僕の言葉は裏を返せば『セックスしたくてしたくて堪らないんだけど、ソレを言っちゃあお仕舞いだから絶対言わないんだけど、何故か言ってないのにキミにはバレてしまうように言ってみた』と言うことになるのかな。
アハハ。
……僕はそんなに器用ではないし、巧みな人間でもない。気も利かないし機知に富んでもいない。それに何より……女性の心理を読むことがまるで駄目な男。
……植物は簡単に愛せるのにね。
ダリアは、いや、キミのことじゃなくて……彼女らは、僕が育てた彼女たちは、何ひとつ言葉を発しないんだよ。でも僕には彼女たちのすべてを理解することが出来るんだ」