きっと仁美さんに悪気はない。それは分かってたけど。
ハートマーク?がいっぱいの話しを無邪気に語る仁美さんに嫉妬した。
話しを聞き始めて20分くらい経った時、下からお母さんが「香奈!ちょっとお手伝いしてくれなーい!!?」と言ってきたので「はーい!!」と叫んで、仁美さんに軽くお辞儀をしてから部屋を出た。
手伝いは仏壇のご飯と水を替えるだけだったから終わってすぐ自分の部屋に戻ってベットに倒れこんだ。
何も考えてないのに涙がボロボロ出てきた。
(今頃2人何してるんだろ...)
考え出すと嫌な方向にいってしまう。
自然と隣のお兄ちゃんの部屋にいる2人の会話を聞こうと壁に耳を澄ませる。
泣くのなんて忘れてピクリとも動かずに聞いていたけど,2人の会話は学校の事とかでえっちな事はしてないみたい。
ホッとして壁から離れて机に向かって座る。考える時の癖なんです...?
いろいろ考えていたら、ふとさっきのお兄ちゃんの態度が気になった。
(...あんまり喋ってなかったな...やっぱあたしと彼女の組み合わせが揃うと気まずいのかな...)
そう考えるとまた泣きそうになった。
(...あの時お兄ちゃんが言ってくれた`お前の全てが好き'は何だったの!!!!!!?)
お兄ちゃんの事を疑いたくはなかったけど今の時点で彼女がいるって事が心に突き刺さった。
悲しくて、声を殺して泣いた。何度もクッションを叩いた。
そのままあたしはいつの間にか寝てた。
起きた時は机に座ったままだったけど肩に布団がかかってた。
手鏡で自分の顔を映す。
まだちょっと目が赤いけど、腫れたりはしてなかったから目を擦るフリをしながら下に降りる。
下ではお父さんもお母さんもお兄ちゃんもいた。
目の事は「掻きすぎたかなー」とか言い訳した。
お母さんがご飯を用意してくれて、それをゆっくり食べる。
お兄ちゃんはお父さんとテレビの野球中継を見てる。
当たり前だけど仁美さんは帰ったみたい。
(...あたしあの後寝ちゃったけどえっちとかしてないといいな...)とか考えながらご飯を食べ終える。
野球中継も終わる。応援していたチームが勝ったらしく、2人共機嫌がいい。
家の中であたし1人がBlueだったからその場にいるのが辛くなって、サッサとお風呂に入る。
上がった頃にはリビングにお兄ちゃんがいなくなってて
香:「あれ?お兄ちゃんは?」
母:「隼人は勉強するって上に昇ったよ」
香:「そぅ...」