私達は当たり障りのない会話で間を保たせたが、アルコールのおかげで窮屈な場にはならなかった。私は佳奈のうなじや足の指などを少し大胆に観察することができたし、彼女も私の爪や指などをほめたりして、普段ではしない会話に及んだ。
ソファーに四人で座っている。隆はいよいよ眠りが深くなって、横になってしまった。あらあら、と笑って見てたが、佳奈が座るスペースを詰めてしまい、彼女の脚は私の足下に追いやられた。佳奈の足は特別かっこうが良いわけではないが、その爪には薄いピンクのペディキュアが塗られている。妻の真理子はそんなことをしたことがない。私は佳奈のツヤツヤ光る爪に女を感じた。
何度も足が触れる。私はドキドキしたが、彼女は平気な顔をしている。酔いが回って鈍感になっているのだろうか…
私は足が触れたまま動かさないでいることにした。佳奈の反応が気になるがとぼけたまま…
少し会話に間が多くなった。私は足に神経が集中している。ただ触れているだけなのに、私の胸はかなり高鳴った。部屋には隆の寝息…隣りでは妻が寝ている。