「ふんおおぉぉぉっっ!!?イ、イグゥッ。イグイグ、イッグウウゥゥゥッッ!!!」
「うっぎいいぃぃぃっっ!!!ご、ごっぢもイグイグ、イッグウウゥゥゥッッ!!!」
茹だる様な暑さの中、色白で華奢な少女と小麦色の大柄の女性とが、汗だくになりながらも体育倉庫の片隅で、全開にした互いの股を押し付ける様にして擦り合って居る。
二人の内、少女の名を”白石 美雪”、女性を”セシリア・ハルヴォリ”と言い、二人は共に政経大学付属高校に通う生徒と教師であった。
美雪は幼い頃から新体操を続けていたため小柄ながらも柔軟で体力もあったが一方のセシリアもまた、祖国ブルガリアで教員資格の他にレスリングや水泳を習い、しかもかなりの上級者で巨体ながらも俊敏であり、またその身体能力は美雪とは比較にならぬ程であった。
そのセシリアは今年で二十四歳の、まだ新米教師であったが”語学を教えて欲しい”と言う学園側の熱い要請に答えるため、また異国の地で見識を広めると言う目的もあって一年程前に赴任して来たのであるが、美雪の場合は少々、事情が特殊であった。
ここ政経大学付属学園には、頂点の大学院の下に大学、高等部、中等部、初等部が各々存在しており、大抵は初等部や中等部から所謂”お受験”を潜り抜けて入学して来るのだが、彼女が通っていたのは此処とは別の名門でも進学校でも無い普通の中学であり、最初は楽しい学園生活を送っていた。
しかし彼女が二年生になった時、所属していた新体操部とバレエ部の対立に、放送部と一部の教師が介入して来た事で突然、それが崩壊してしまう。
この二つは元々は別段、互いを意識する事も無く、各々が平和に楽しく活動を行っていたのであるが、”柊 理恵”と言う少女が新しくバレエ部の部長に就任してから状況が一変した。
”部長紹介”等で新聞部のインタビューに応える場合に一見、普通に受け答えをしている様に見えてその実、暗に新体操部の事を貶したり、部の予算から活動内容、運営方針等に至るまで必ず某かのイチャモンを付けては嘲笑う、と言った挑発行為を有形無形、様々な形で繰り返すと同時に、反対に自分達の活動PRを執拗な迄に強行して行ったのだ。