しかもその内容は自分達の行動や言動を極端に美化したり、実際にあった事に脚色を施して話を大きく膨らませたモノが大半で、見る人が見れば”此処までは無いだろう”と首を傾げたくなる程であった。
尤も此だけならば、幾らでもかわしようはあったし現に最初の内は美雪達新体操部側も大して気にせず黙殺をしていたのであるが、彼女達が事態がより深刻なモノかも知れないと気が付いたのは新入生への部活動PRや生徒総会を経て何度目かのお昼の放送を聞いた時だった。
当時インタビューを受けた新体操部の部長”平井 由衣”の話し内容が大幅にカットされて、変わりに柊の時間に当てられており、しかもそれが何度も何度も続いたのだ。
新聞部は散発的であり、また記事の内容も生徒会や教師の声等様々なモノがあったから兎も角としても、放送部の場合はそれが明らかにバレエ部寄りであり、しかも時を重ねるに連れて彼女達に同調する様相を呈して来た。
やり方も良く手が込んでおり、例えば”新体操部とバレー部、どちらが好き?”と言う二者択一アンケートを取る場合でも、バレエ部員の比較的多いクラスに的を絞って実施しておきながら”無作為に選んだ”と言って憚らず、お昼の放送に柊ばかり出すのも”彼女が立派だから”、”面白そうだから”の一点張りで決して話合おうとしない上に”そちらの提供してくれる話が良いと思えば採用してやる”との捨て台詞を吐く始末である。
”放送部は厳粛に第三者的な立場で活動し、どちらかに片寄ってはならない”、”何色に染まってもならない”。
それは確かに正しい基本的な心構えであるし、また自身がそうした大事な部分はキチンと守る性質の美雪はだから”自分でもそうだから、プロである放送部の人々も確実にしているだろう”と言う、良く考えれば何の根拠も無い先入観に囚われており、様々な角度からキチンと調べて裏を取った訳でも無いのに、ハッキリ言って迂闊であった。