しかし何故、東西間で距離がこれだけ離れていた二人が一緒になれたのかと言えば、彼等の両親たちが親友であり、仕事の出張や大型連休を利用しては良く互いの家を行き来していた為である。
そこで初めて二人は出会ったのであるが、後から考えればそれは確かに運命であったのかも知れない、その瞬間にリディアは胸の奥で大人になった自分達が夫婦となってバージンロードを歩いている光景を感じ取り、それが頭の中でイメージとしてハッキリと投影されたのだ。
(ああ。大きくなったら私はこの人と結婚するんだ・・・)
何と無く、しかし強い確信を抱いたモノの何分にも刹那の出来事であると同時に、忙しい日々の生活に追われている内に徐々に頭の片隅に追いやられて行った。
当時既に才女として一族は勿論、街の人々の間で噂に登っていた彼女は責任感も強くて賢かった事から何度か旅籠の店番を任される事があり、しかもその度に大人顔負けにこなして来たし、それに苛め等の理不尽な暴力や卑劣な行いは大嫌いであり、その様な事をする人間に対しては余りにも酷い場合、例え自分よりも大きな相手であっても口を出したりしていたのだ。
そんな彼女はだから、可愛らしくて礼儀も弁えていたモノの、同時にその行動力の激しさは男子連中の手にも負えない程で、、憧れられるは得ていた一部の者たちからは敬遠もされていた。
だがそんな中でカズキだけは違い、何だかんだ言っても何時も一緒に居てくれたし、またいざの際には信じられない程の勇気と力とを発揮して彼女をリードし、最後の最後には必ず助け出してくれたのだ。
泣いている彼女をしっかりと抱き締めて言葉を掛けてくれたのであり、それがとても力強くて暖かいモノだった。