そんな優しくも凛とした声が響くと続いてドタドタと足音がして、四人の少年少女が館内から出て来るが彼等は何れもが髪の毛や眼、肉体の強靭さに肌の色、そして周囲への心配りやちょっびり不器用だけど真面目で一本気な所等、何らかの形で両親の心身の特徴を受け継いでおり、まだ幼い乍らも男の子は勇敢で辛抱強く、女の子は賢くて利発であった。
「今日はなんなの?」
「ドーナツよ。本当は無花果とストロベリージャムを乗せたパンケーキにしようかと思ったのだけれど・・・。晩御飯も有るからね」
そんな彼女の言葉通りに全員が席に着くと各々に二枚のチョコレート・ドーナツとダージリン、それにミルクとブランデーが運ばれて来るが無論、リキュールは大人向け、即ちカズキのモノだ。
「手は洗ったの?ナプキンは」
「洗った、いらない」
「いけません、ちゃんとテーブルマナーも身に付けないと。こんな所、お客さんに見せられないわ」
「大丈夫だよ母さん、誰も気にしないから」
「いけません、って」
そんな長男や次男の言動を落ち着き乍らもしかし、少しだけ語気を強めて母親が窘めた。
「お父さんに、叱って貰おうかな?」