やっ…ヤバい!
「何なの!?もうやめてって言ったじゃないっ!帰ってよぉ〜っあたし智貴をそういう目で見れないの!」
りるなはつい智貴を突き飛ばす。「…っ」
言い過ぎちゃったかも…でも…些夜が来ちゃうかも知れないし…っ
「…ゴメンな」
「!!えっ」りるなは顔を上げる。
「別に…困らせたいワケじゃなかったんだけどな…ただ…嘘のキモチなんかじゃないって言っておきたくて…本当のキモチだから」
『嘘のキモチなんかじゃないから…!』
あの時の自分の言葉と同じだった…愛する些夜に向かって言った。純粋で、深くて優しい言葉。真っ白で、混じり気のない…。
もし自分が些夜に、「そんなの嘘よ」
「あたし無理だから!」
そう言われたとしたら。絶望するだろう…哀しいだろう。あたし…あたしは智貴を傷つけてしまった…!
「まっ…智貴…ッ」
りるなが名前を呼ぶと、智貴は寂しげな笑顔で振り向いた。
「もう…近付かないよ。でも…」
チュッ…
「ほっぺにキスくらい良いだろ?じゃな」
走り去って行く愛しい後ろ姿。
「とも…き…っ」
あっけない…こんなにあっけなく離れてしまうの?
馬鹿…簡単に傷つけておいて、今更何を後悔してるの…?
「おはよー!りるな★遅れちゃったぁ〜ゴメンね〜」
「良いよぉ別に。」
「りるな…?何故…泣いてるの」
ポロポロと目からこぼれる涙。
「やだなぁ〜…泣いてないよぉ…っ…泣…いてない…バ…バカっ…」
「…泣いて良いよ」
ポンポンと頭をなでる些夜の手が、とても暖かかった。
「ぁっ…あああ…!」ごめんなさい…智貴。あたしは、自分の恋を守るためにあなたを傷つけてしまった…
その時些夜は、決意を固めてりるなの手を握った。