正々堂々と静謐を好む彼女は戦いにおいても人質を取ったり策謀を巡らせることを良しとせず、常に真正面から向かって行ってそれで勝ってしまう人だったのである。
それはプライベートでも徹底しており生活と貯蓄に回す以外の給与は全額寄付、残った僅かなお金で唯一の趣味であるお酒を嗜む以外はただひたすらに厳しい修練に明け暮れた、最後の最後でモノを言うのが結局はそういった真面目な力や一途な思いであることを知っていたからだがいわゆる“ならぬものはならぬ”、それこそが彼女の生き方であったのだ。
そしてそれは一本気で筋が通っており、物事のケジメをキチンと付けるタイプの人間だったメリアリアにも共感できるものだったしそれ故、二人の師弟関係はそれなりに良いモノだったと言えなくもないがしかし、そんな順風満帆な筈の彼女の表情が時折曇りがちになり、苦痛の色が浮かぶことを蒼太は見逃さなかった。