ある土曜日の放課後、蒼太と口付けを交わした場所から少し下った処にある休憩所のベンチに腰掛けながら、セフィアリアが愛弟子であるメリアリアに状況を話して聞かせるものの、その表情はいつになく険しく、緊張感に満ちていた。
「正直、今回は可及的に速やかに任務を遂行しなくてはならない、と言うのは奴らの背後にイスラエラの諜報機関“モバサ”が見え隠れしているんだ、もしかしたなら極秘裏に手を結んだのか、もしくは煽られて利用されているのかもしれない」
「そんな・・・!!」
「詳しいことはまだ何もわかってはいないのだけれども・・・。事実とすれば一大事なんだ、海外の諜報機関にこちらの内部情報を握られる事は何として防がなくてはならないんだ。・・・解るな?」
「・・・はい」
「早速、明朝から任務を開始する。理解しているとは思うが極秘にだぞ?」
「解っています、セフィアリアさん」
偉大な先達であり師匠でもある女王の言葉にメリアリアも深く頷くが、これがもし事実ならば非常に由々しき大事態だ、何しろ事は単なる内輪揉めでは済まされず、第三国をも巻き込んだ、壮大な謀略ゲームの疑いが出て来るのだから。