それ以来、復讐と返り咲きの時を虎視眈々と狙っていたシュバルツに昨年、ついにその機会が訪れるがヨーロッパ地方での諜報活動における協力者を探し求めていた、“ユゴヤの民”と呼ばれる流浪の民が中東に打ち立てた国“イスラエラ”から取引を持ち掛けられたのである、曰く“自分達の情報収集に協力して欲しい、その代わり経済的な援助はするから”、と
そしてあろうことか彼はその誘いに乗ってしまった、かの国の誇る、中東最強とまで噂される諜報機関“モバサ”の対西欧国家諜報戦略室室長の“アブダエル・グランヤサム”から差し伸べられた手を受け取ってしまったのだ。
結果シュバルツは見事に復権を果たした、と言ってもあれだけの事を仕出かした彼が表立って活動する事は不可能であったからモバサの支援の下で自身はあくまでも陰に隠れたまま、息の掛かった連中を立ち回らせて一気に財力と勢力とを回復、その影響力を行使してイスラエラとの約束を忠実に履行し始めたのだ。
例の諜報員事件で神経を尖らせていた若者たちを煽動して仇明派を立ち上げさせ、シャドウスキルを分裂させるように仕向けたのであり、そしてその動乱の隙に国家機密情報をモバサ側へと引き渡す手筈であったがそれを察知したルーカスと無憂派の面々がまたもや阻止に乗り出してきた、と言う訳だ。