駆け付けてくれたことには礼を言うとしても通常、こういう場合は例え戦功を挙げたとしても処罰は免れ得ない上に、そもそもこれだけシャドウスキルの警戒が厳しい中に、幾ら同胞とは言えども一介の少年が容易く紛れ込める訳も無く、流石の孤高の女王でも思わず首を傾げる。
もっともそれは致し方のない事だったのだが今回の事は彼女たち現場の人間から見れば正に”雲の上の存在”とでも言うべき国王ペリオット三世の側近中の側近であり、尚且つシルフィード王家後見役でもある宮廷魔術師”黒曜のルーカス”の意志が関わっていた故の特例だったのだ。
彼がエルフォードや他のシャドウスキル重鎮に働き掛けて今回、“特別任務”と言う形でこの少年を現地入りさせたのだがそれはルーカスが蒼太おメリアリアと言う二人の運命と絆の力とを見抜いたからに他ならない。
彼らは確かに、一人一人ではまだ未熟だし、至らない部分も多々あるがしかし、それでも二人ならば話は別だ、身も心も結ばれて一つになれば、どんな大きな試練に立ち向かう事も出来るし、それを乗り越える事も容易いだろうと踏んだのである、・・・特にこの蒼太と言う少年は。