「私がいないからって、泣いちゃだめよ?」
「・・・うん、解ってるよ」
「きっとまた会えるわ・・・」
「・・・・・」
もうほとんど瞳を涙でいっぱいにしながらも留火が頷くがしかし、それでも彼は必死に泣くまいとしていた、真白が悲しむことを知っていたからだ。
常にそれとなく留火の事を気遣ってくれていた彼女はよく、留火が父祖にしごかれて泣きべそを掻いているとこっそりとやって来てはソッと頭を撫でてくれたし、そしてその度に繰り返し、彼に言い聞かさせていたのである、“男の子は泣いちゃだめよ”と。
「う、うっ、ごめんね留火。私、わたし・・・!!」
「・・・真白!!」
「きゃっ!!?」
学校や幼稚園で何か困ったことがあるとすぐさま駆けつけてくれて一緒に考えたり、問題を解決するための手伝いをしてくれたのだが、それらは本当に彼の事を考えてくれていたからこそ出来た事であり、そしてそれがよく分かっていたからこそ、留火は決して泣かなかったのである、しかし。