その力やコミュニケーション能力を利用して現地の人たちと交流を持つうちに、その地域の様々な問題を解決に導いてきた彼の名前は徐々に人々の口に上るようになって来た、本人は“止めてくれ”と言ったがその願いとは裏腹に、密かな人気者となっていたのだ、そして。
そんな彼に目を付けたいくつかの学校の使節が接触を図ってきたのである、“うちで勉強しなおさないか?”と。
その内の一つがメリアヴェッラだったのであり当然、留火はそこを選ぶことにした、“真白に会える”、その希望と喜びとを胸に抱いて。
しかし。
「・・・はあぁ」
毎度毎度のことながら、と留火は思うがこれなのだ、この日本とそれ以外の国々での時間についての思想や感覚の違いは既に理解しているつもりではあったがしかし、それでも慣れるものでもなかった、別にロマリオに限った話ではないのだがアジアやヨーロッパのいくつかの国々の中ではどうも、時間と言うのは量子力学の粒子の持つ、波動領域的なとらえ方をするらしくて例えば“午前十一時半にお伺いします”となった場合、日本ではピンポイントでそこへ行くか、あるいは先方に迷惑を掛けないためにも十分前には訪問するのが礼儀となっている。